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患者さんとご家族へのメッセージ

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患者さんとご家族の声

ハートはあったかい~ポンペ病の息子のために~ 吉田さんの息子さん、彩芽(あやめ)君は5歳のときにポンペ病と診断されました。まだ幼く、また自閉症を併せ持つ彩芽君に病気のことを理解してもらい、治療の大切さを認識してもらうために吉田さんが考えたのが、彩芽君のための絵本を描くことでした。彩芽君と共に成長し、強くなってきたと語る吉田さんに、彩芽君の母親として経験したこと、感じたこと、そしてこれからのことについてお話を伺いました。 ポンぺ病患者会 副会長 吉田 香澄さん

ポンペ病の診断でみえた治療の光 ―後ろを振り返らず、前を向いて生きる

彩芽の病気が分かってからこれまで、常に大きな感情の波に振り回されてきました。最初に自閉症、知的障害と言われたときには、障害があったことにまず落ち込みました。それから、自閉症について一生懸命に勉強しました。自閉症は生まれつきの脳機能の障害ですが、世間には誤解も多く、周囲の人から「母親の関わり方が悪いんじゃないか」、「しつけがなっていない」、「変わった子」などと言われ、自分を責め、落ち込んだりしました。
筋ジストロフィーかもしれないと言われたとき、成人するまで生きることができない場合もあるような病気であることを知り、私の考えが大きく変わりました。生きてさえいれば、障害があっても構わないじゃないかと思うようになり、立ち止まっている暇はない、長くは生きられないかもしれないこの子のために、母親の私に何ができるだろうかと考えました。そして、周囲のことなど関係なく、この子が喜ぶこと、楽しいと思うことなら何でもやってあげようと考えるようになりました。
そうしたなかで、ポンペ病と診断されました。主治医の先生は「筋ジストロフィーではなく、もうちょっと未来が明るい病気でした」と、前向きな伝え方をしてくださいましたが、そんなふうにおっしゃったのは、ちょうどその頃に海外でポンペ病の治療薬の開発が最終段階に入っていたためです。ポンぺ病の診断により、私たち家族にとって新たな挑戦が始まりましたが、治療の可能性がみえたことで、この病気を前向きに受け止めることができました。それ以降は後ろを振り返らず、ただひたすら前に向かって進んでくることができたと思います。

病気のこと、治療が必要なことを絵本で説明 
―自閉症の息子が治療を受け入れるために

診断から1年ほどが過ぎた頃、日本でも酵素補充療法の薬が承認される見込みとなってきました。1日も早く治療が始められるよう心待ちにする日々でしたが、心配なことが1つありました。それは、長時間の点滴に彩芽自身が耐えられるだろうかということです。
彩芽は、筋力が弱いだけでなく、風邪をひきやすく胃腸が弱くて下痢ばかりして髪の毛も多く抜けるなど、体の弱い子でした。そのため、近くの小児科で点滴を受けることが多かったのですが、看護師さんが3人がかりで押さえなければいけないほど、毎回大暴れして大変でした。
唯一の治療法の酵素補充療法を受けるためには、2週間ごとに何時間もの点滴を受けなくてはなりません。それまで、本人に病気について話してはいなかったのですが、彼には自閉症特有のこだわりがあるので、まず病気について伝え、病気だから点滴の必要があることを納得させなくては、治療は無理だと思いました。そこで、年内には酵素補充療法を開始できそうだとなったとき、彼のために私は絵本を描くことにしたのです。
※筋ジストロフィーとは、進行性に筋肉がやせていき、筋力が少しずつ弱くなる遺伝性の病気の総称です。
発症年齢や症状などから、さまざまなタイプ(病型)に分けられています。