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患者さんとご家族へのメッセージ

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患者さんとご家族の声

ムコ多糖症の息子の父親として、そして患者会事務局長として
~ひとりじゃない~ 川元さんの次男、M君がムコ多糖症Ⅱ型と診断されたのは、2歳半のときだったそうです。M君の生活と成長、治療のために奔走してこられた川元さんは、今は「日本ムコ多糖症親の会」の事務局長として、患者さんとご家族への支援、さらには新しい治療薬の早期承認を目指す活動など、家族の枠を超えて、ムコ多糖症の患者さんのための活動をしておられます。そんな川元さんに、患者さんのご家族として、一人の親として、どのように感じ、考えてこられたのか、お話を伺いました。 「日本ムコ多糖症親の会」事務局長 川元正司さん(ムコ多糖症Ⅱ型のM君のお父様)

「何でやってくれないんだろう」からの脱皮 ―社会との関わり

ムコ多糖症という希少な病気と付き合うためには、健康な方とは違う労力や配慮が必要とされる場面が多くあります。現時点では毎日、毎月、治療して症状が改善する病気ではないのです。毎日、毎月、変化していって、そのなかでどう生活していくかが大切なのです。
衣食住に関してはやはり妻の関わりが大きく、母親同士のパイプラインで相談し合い、試しながら実践しています。そのパイプラインには、患者家族会の方たちもいますし、療育施設やリハビリセンターなどで知り合った、ほかの病気や障害をもつ方たちもいて、症状のケアや日常生活の知恵をいただいています。
いわゆる難病ということで、医療費の補助や福祉サービスを受けることができますが、そのためにはさまざまな申請手続きが必要になります。例えば身体障害者であれば、その不自由を補うための装具や設備に補助金が出ますが、現時点での症状からしか障害者等級の認定がされないという問題があります。ムコ多糖症は、いずれ体の動きに障害が出てくる疾患であり、そうなってから認定を得て、装具などを作るのでは遅いのですが、早めに認定を得ることは難しいのです。医師の意見書や行政側への粘り強い説明などが必要ですが、それでも希望する等級では認定されることが難しい状況です。
受益者負担という考え方なのかもしれませんが、自ら積極的に主張していかないと何も始まりません。でも逆に言えば、聞いてくれる人がいてチャンスもある、という考え方もあると思います。最初は誰もが「何でやってくれないんだろう」からスタートします。やがて、それでは何も前に進まないことに気づき、自分で声に出して動いてみて「やらなければいけないんだ」と気づきます。「こうしてほしい」と具体的に言う、そのために必要なところに協力を求める、そうしたときにも患者同士のつながりは有効になってくると感じています。

「日本ムコ多糖症親の会」の事務局長として
―先輩として、新しい会員の方への手助け

私は今「日本ムコ多糖症親の会」の事務局長として、患者家族を迎え入れる立場にあります。入会の申し込みがあった場合、必ず直接お電話をするようにしていますが、お話を聞いているうちに、涙ぐまれている様子が伝わってくることがあります。この病気はまれな病気で、余命の宣告をされてしまうこともあり、誰に話してもきっと分かってもらえない、誰にも言えないと考えるご家族が多くいらっしゃいます。きっと、不安な気持ちを抱えていて、まず話を聞いてほしいのだと思います。
同じ境遇の家族とつながりをもてることは、それだけで大きな安心につながります。そして、少し時間がかかるかもしれませんが、そのご家族がお子さんとの生活やその後の治療について冷静に考えられるようになったら、今度は交流会などで治療についての最新の情報や日常生活のヒントを持ち帰ってもらいたいと考えています。

患者さんを支えるあなたへ、そしてこれから支えたいと考えている皆さんへ

患者さんとそのご家族は「ひとりじゃない」ということに気づいてください。話を聞く人、経験者として共感できる仲間がここにもいます。
そして、これから支えたいと考えている皆さんには、1人ひとりに疾患のことを正しく知ってもらいたいと願っています。それが、私たちの勇気になります。何かできることを、と考えなくてもいい、まずは知ることから始めてください。そして寄り添ってください。「ムコ多糖症の子」ではなく、皆それぞれの名前があります。名前で呼びかけてください。何を聞いてよいか分からず接し方が分からないのなら、お互いにけん制し合うのではなく、聞きたいことは何でも聞いてくれてよいと思います。何ができるかを考える前に、一緒に寄り添ってほしい。それが、私たちの一番の願いです。